失いたくないもの
ぼくは千葉に住んでいる。
先日の台風の復旧がようやく終わったと思ったら、また台風が近づいてきているらしい。
しかもかなり大型みたいで、もしかしたら家が吹っ飛ぶかも…(前回は雨戸が吹っ飛び、庭の金木犀が一本根元からなぎ倒されるだけですんだ)
そんなことを考えているとき、ふと思った。
でも今のぼくに心から失いたくないものって、あるのかな。
車が吹っ飛ぼうが、家が吹っ飛ぼうが、生活に支障がでて、お金もたくさんかかるし、めんどくさいな、とは思うだろうけど、心から失いたくないもの、なのか。
少し前までは、地震や災害が起きるたび、お母さん大丈夫かな、犬は大丈夫かな、と心がざわめく感じがあったけど、今は幸か不幸かどちらもこの世には存在していない。
僕は生き物が好きだったが、15年連れ添った犬と10年連れ添ったウーパールーパーを看取ってからはしばらく生き物を飼うのはやめようと思った。
別れの辛さを知ったから。
まあ、植物はなんだかんだで3年間、毎年花を咲かせてくれるシクラメンと、小さな鉢に入った梅の木を育ててはいるんだけど。
心がざわざわしない分、気はまあ楽だ。
だけどこないだ、少し強めの地震が起こった瞬間に、心がざわついてしまった。
不安だった。
心配だった。
彼のことが。
無事でいてほしい、ただそれだけ。
好きになると背負うものが増える。
いつか訪れる別れに怯えながら生きていかなければならないかもしれない。
それでもぼくは彼と一緒に生きていきたいと願った。
愛を知ってしまったから。
そんなことを思った週末。
どうか今回の台風では被害が最小限でありますように。