藤田嗣治展
上野の東京都美術館で開催されている「藤田嗣治展」に行ってきました。
絵画鑑賞は元々好きでちょくちょく美術館に足を運んでいます。
好きな画家はルノアールやモネ、ルーベンスなど、西洋絵画の王道で、行く美術展も自ずとそれらが展示されている催しが多い傾向にありました。
今回の藤田展は正直興味があって行ったわけではなく、他にそそるものがなかったという、極めて消極的理由からです。そもそも藤田嗣治という存在自体知りませんでしたし。
で、行ってみて、結論から言うと、とても良かったです!
こんな偉大な日本人がいたことに驚きを隠せませんでした。
人物を簡単に説明すると、藤田嗣治(1886-1968)は日本で生まれ、日本の美術学校を卒業したのち、パリに渡り、その時代の美術界の第一線で活躍した人です。
どういうところが凄いと思ったのかというと、まずその多彩さです。
藤田はパリに渡り、キュビズムやシュルレアリスムなどの様々な画法や芸術概念に触れ、自らの作品に積極的に取り入れていったため、一人の画家の展覧会なのに同じ人が描いたとは思えないほど変化に富んでいます。
次に完成度です。確かな描写力があったため、忠実な写実も概念的な抽象画もお手の物。これは一流の芸術家の共通点なのかもしれません。葛飾北斎もピカソもそうだったと聞いています。
そして最後にオリジナリティ。様々な画法や芸術概念を自らの作品に取り込むも、やっぱり藤田の芸術性が作品の中に生きていることを感じるんですよね。それはなかなか文章で伝えのは難しいんですけど、ひとつ言えるのは、日本人の感性が入ってるということだと思います。だからむしろ、ルノアールやモネ以上に作品に共感できました。ルノアールやモネの血の中には無い感性、まさに日本人の血を持つ藤田の感性だと思っています。
まとめると、日本とフランスのひとつの完成された融合の形が面白かったのかもしれません。
でも絵画って実に面白い表現媒体だと思っていて、現実をありのままに投影するのは写真には及ばないけど、作品を前にした時のリアリティがなぜか写真以上に伝わってくると感じます。様々な絵画の技法を駆使して、人を絵の中の世界に引き込むことができる。それが絵画の面白さです。
やっぱり自分は絵でも音楽でも文章でも、表現されたものに触れることが好きだなぁと感じた休日でした。
アート最高!