前を向く
本当の事を言うとね、最近まで彼に強く執着していた。
何も言わずに目の前から去った彼。
彼の幸せを願わなければいけないのに、幸せな彼の姿を想像すればするほど嫉妬の感情が湧き上がった。
そして彼がいないところで自分が幸せになることを拒否してきた。
それでも彼と過ごした幸せなとき、優しい言葉や態度を否定することなどできなかった。
彼との未来を信じたかった。
結局、彼を幸せにできなかった自分の無力感だけが残ったような気がしていた。
でもようやく、その感情も薄れてきたような気がする。
心から笑うことを許せるようになった。
またひとり旅にでも行きたいなぁ。